2011年2月

レバノン週報(2011年2月19日〜2月27日)

東京での研究発表、及びその他の雑事を済ませ、19日にベイルートに戻ってきた。東京はかなり寒く、出発前には体調を崩してしまったが、ベイルートが例年になく暖かいこともあり、到着後直ぐに調子を取り戻せた。

さて、一時帰国前の1月下旬(25日)には、ミーカーティーが首相に任命されたが、その後の組閣作業が行き詰まってしまったことから、未だ新内閣は樹立されていない状況である。現暫定内閣(サァド・ハリーリー内閣)のケースでは、首相任命から内閣樹立まで5カ月弱かかったことから、まだ道半ばとも評し得ようが、ハリーリー側が1月27日に、新内閣に加わらない意向であることを表明した結果、新内閣は「3月8日同盟」メンバーを軸に樹立されることになっている。故に、対立する「3月14日同盟」メンバーを含む「挙国一致内閣」という形を取らないことから、内閣形成がスムーズに進むことがレバノン国内で予想されていたのであるが、その見通しはどうやら期待外れに終わりそうな様相を呈してきた。

内閣形成が行き詰まっている要因としては、3月8日同盟に属する「自由国民潮流」勢力を率いるアウンが、ミーカーティー次期首相やスライマーン大統領の観点から、「過大な」要求をしてことが大きいようである。伝えられるところによれば、サァド・ハリーリー内閣(定員30名)においては自由国民潮流出身、若しくは同組織と関係の深い閣僚数が総計5名であったのに対し、次期ミーカーティー内閣が定員32人ならば13人、同30人ならば12人、同24人ならば10人という、自派出身、若しくは自派と関係の深い人物による入閣数をアウンは要求しているようである。この背景には、2009年6月の国会議員選挙の結果、第一党のサァド・ハリーリー率いる「未来潮流」勢力に次いで、自由国民潮流が獲得した議席数が多く、3月8日同盟の中で見ると、自由国民潮流の議席数が約三分の一を占めていることがある。従って、アウンの閣僚数を巡る要求は、自由国民潮流の3月8日同盟内における議席数を鑑みると、決して「法外」なものではないが、同氏が「重要ポスト」(内務地方行政、国防、財務、外務)獲得に対する強い野心を持っていることが、形成プロセスを長引かせているようである。とりわけ、スライマーン大統領が自らの「側近」とも形容可能な、バールード内務地方行政大臣の留任を強く望んでいるのに対して、アウンは自派出身者の登用を要求していると言われている。

以上のような動向で2月はほぼ終わってしまったが、3月にはどのような展開が待っているであろうか。ラフィーク・ハリーリー爆殺事件を取り扱っている「レバノン特別法廷」をめぐる国内対立も膠着状態であることから、政情の展開を楽しみつつ見守っていきたい。

レバノン週報(2011年2月28日〜3月6日)

新内閣形成プロセスは今週も大きな進展を見せなかったが、サァド・ハリーリー暫定首相を軸とする「3月14日同盟」の内部において、ミーカーティー次期首相が率いることになっている新内閣に参加するかどうか、意見が割れているようである。3月14日同盟の基本路線は不参加であるが、同同盟に属する「カターイブ党」を率いるジュマイイル党首は今週の冒頭、次期内閣への参加は「国民の義務」である、と発言したと報じられている。

他方で、ラフィーク・ハリーリー爆殺事件調査を取り扱っている「レバノン特別法廷」に関しては、同国内で様々な動きが見られたが、その一つが3月2日付のレバノンの英字紙「ディリー・スター」の報道であった。同報道によると、特別法廷からの様々な要請に応えていないと、サァド・ハリーリーが見なした4人の閣僚(アリーディー公共事業運輸大臣、バーシール・エネルギー水資源大臣、ナッハース通信郵便大臣、バールード内務地方行政大臣、但し現在の立場は何れも暫定閣僚)に対して、ハリーリー側が2月24日付で、同法廷と協力するように要請する手紙を送付したとのことである。これに対して、アリーディーとバールードは翌3日、提供を要求された情報のいくつかは特別法廷の管轄外のものであったことを主張したが、同法廷を巡るレバノン国内の対立が解消されない限り、このような形での駆け引きは今後も出現しよう。

なお、サァド・ハリーリーは内閣崩壊(1月12日)以来初めて、3月6日にサウジアラビアを訪問し、政府関係者らと会談した。昨年末から本年初頭にかけて、レバノン特別法廷を巡る国内対立の解消に向けたサウジアラビアとシリアの動き(「サウジ・シリア・イニシアティブ」)が報じられたが、最終的にはレバノン側に、特別法廷との協力関係の解消を求める見通しとなったため、サァド・ハリーリーは1月中旬に米国やフランスの政府首脳らと会談し、両国がサウジアラビアを従来通りの路線(レバノンによる同法廷との協力関係に対して、サウジが支援)に引き戻してくれることを期待した。このことがサウジアラビアの「不興を買った」と言われているが、同国がサウジ・シリア・イニシアティブを今後復活させるかどうかは未知数である。

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